今日の俳句(季題)名句・秀句 2013年(平成25年)
今日の俳句(季題)名句・秀句 2013年(平成25年)
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《 4 月 》
4月1日(月)
四月/今日の俳句 第1240号
四月白樺の雨に燕の巣がにほふ
飯田龍太
四月モニュメント好きな市民と子雀と
後藤比奈夫
4月2日(火)
春暁/今日の俳句 第1241号
春暁やまだ一言ももの言はず
倉田絋文
春暁や雨のあらひし松の幹
久保田万太郎
春暁の水に映りて鶯翔べり
佐々信一郎
4月3日(水)
春昼/今日の俳句 第1242号
春昼の匙おちてよき音たつる
桂信子
春昼やこぼるる花とちる花と
小杉余子
春昼をゆきて地主に低頭す
伊丹三樹彦
4月4日(木)
春の夕/今日の俳句 第1243号
春ゆふべあまたのびつこ跳ねゆけり
西東三鬼
らちもなき春ゆうぐれの古刹出づ
下村槐太
浅草の楽はかなしき春夕
戸枝京虎
4月5日(金)
春の暮/今日の俳句 第1244号
春の暮汚れ流るゝ音澄めり
日野晏子
いづかたも水行く途中春の暮
永田耕衣
遠きより山かげ消ゆる春の暮
相馬遷子
4月6日(土)
春の宵/今日の俳句 第1245号
宵の食卓かこむ一人欠けし
内藤吐天
春宵や自治会の議事もめて居り
酒井信四郎
春の宵歯痛の歯ぐき押してみる
徳川夢声
4月7日(日)
春の夜/今日の俳句 第1246号
春の夜のはたてにまはる燈台あり
篠原梵
春の夜や灯を囲み居る盲者達
村上鬼城
春の夜や寝し子のふくよかに
渡辺桂子
4月8日(月)
暖か/今日の俳句 第1247号
あたたかくたんぽぽの花茎の上
長谷川素逝
暖かし好遇されて居る如し
相生垣瓜人
暖かや飴の中から桃太郎
川端茅舎
4月9日(火)
麗か/今日の俳句 第1248号
うららかや空より青き流れあり
安部みどり女
伽陀の声麗かや幻花昼を満つ
広江八重桜
遠く来るうらゝの汝を想ひけり
田畑比古
4月10日(水)
長閑/今日の俳句 第1249号
花過ぎの心長閑や煙草盆
岡野知十
長閑なる水暮れて湖中灯ともれり
河東碧梧桐
のどかさに寝てしまひけり草の上
松根東洋城
4月11日(木)
日永/今日の俳句 第1250号
永き日のにはとり柵を越えにけり
芝不器男
永き日の暮るる方へと草の道
甲田鐘一路
永き日や石ぬけ落る愛宕山
湯本希杖
4月12日(金)
遅日/今日の俳句 第1251号
生簀籠波間に受ける遅日かな
鈴木真砂女
暮れおそき草木の影をふみにけり
五十崎古郷
戸を開けて子を呼んでいる遅日かな
千葉皓史
4月13日(土)
花冷え/今日の俳句 第1252号
花冷に欅はけぶる月夜かな
渡辺水巴
花冷や目薬をさす夕ごころ
横光利一
花冷の夕べ日当る襖かな
岸田稚魚
4月14日(日)
鰊(にしん)/今日の俳句 第1253号
鰊来る気配に曇る雄久岬
岡本昼虹
坑夫くる青く大きな鰊ぶらさげ
高橋葦男
鰊焼く焔が皮に移り燃ゆ
田川飛旅子
4月15日(月)
鰆(さわら)/今日の俳句 第1254号
鰆舟瀬戸口を出て暮光を負ふ
西村公鳳
鰆一匹とどけくれたり法事かな
高島茂
鰆釣り紀州の鼻は切れて見えゆ
小山白楢
4月16日(火)
さより(竹魚)/今日の俳句 第1255号
青空の映れる水に針魚みゆ
長谷川櫂
ちりやすくあつまりやすくサヨリらは
篠原梵
なほいくつ江の奥指すや針魚舟
村上光子
4月17日(水)
白魚/今日の俳句 第1256号
白魚火や国引せしといふ海に
阿波野青畝
昼深く生ける白魚をすすり食ふ
五所平之助
白魚のさかなたること略しけり
中原道夫
4月18日(木)
鱒(ます)/今日の俳句 第1257号
鱒の子はすでに紅らむほとゝぎす
石田波郷
ふるさとを見捨てさせない鱒のすし
永井耶摩男
吊れすぎて財布気になる鱒釣り場
新海照弘
4月19日(金)
諸子(もろこ)/今日の俳句 第1258号
弁慶に刺せるは諸子ばかりかな
結城美津女
火にのせて草のにほひす初諸子
森澄雄
諸子焼く春の夕べとなりにけり
角川春樹
4月20日(土)
公魚(わかさぎ)/今日の俳句 第1259号
わかさぎを薄味に煮て暮色くる
桂信子
わかさぎ生死(しょうじ)どちらも胴を曲げ
宇多喜代子
公魚の受精卵はや濁りをり
野末たくニ
4月21日(日)
桜鰔(さくらうぐい)/今日の俳句 第1260号
一身を緋にみごもれるうぐひかな
小林?子
水ほのぼの桜鰔の過ぐるとき
山崎みのる
なかなかに決まらぬ見合花うぐい
石口光子
4月22日(月)
柳鮠(やなぎはえ)/今日の俳句 第1261号
鮠透けり富士湧水を雲流れ
山本陽子
水門に少年の日の柳鮠
川端茅舎
山下りて逃げゆく水や柳鮠
清水基吉
4月23日(火)
乗込鮒/今日の俳句 第1262号
春鮒釣り硝子戸のある家に帰る
加倉井秋を
乗込鮒枯葉藻屑をかきわけて
沢木欣一
疾風波鮒乗込むをはばみけり
内山亜川
4月24日(水)
若鮎/今日の俳句 第1263号
若鮎のうす墨の香を一夜の灯
渡辺桂子
水匂ふとは上り鮎匂ふこと
藤崎久を
次々と水に刺さりて上り鮎
小島健
4月25日(木)
蛍烏賊/今日の俳句 第1264号
蛍烏賊松風陸を離れざる
金尾梅の門
父の忌の町に出初めし蛍烏賊
沢木欣一
蛍烏賊光る方へと舟かしぐ
廣野寛子
4月26日(金)
花烏賊/今日の俳句 第1265号
花烏賊の甲羅を舟のごと浮かし
長谷川かな女
花烏賊や足投げ出して女学生
矢野椎人
洗ひたる花烏賊をすこし吐き
高濱虚子
4月27日(土)
飯蛸/今日の俳句 第1266号
夕澄みて飯蛸泳ぐ舟のうち
堀口星眠
飯蛸の飯詰まりしもの選び買ふ
赤木日出子
飯蛸をつかめば夢のごと逃ぐる
澤本三乗
4月28日(日)
栄螺(さざえ)/今日の俳句 第1267号
生栄螺しこしこ噛んで夜の怒涛
鈴木真砂女
しんかんと栄螺の籠の十(とお)ばかり
飯田龍太
どこ置いても栄螺の殻は安定す
加倉井秋を
4月29日(月)
蛤(はまぐり)/今日の俳句 第1268号
南【みんなみ】に海蛤のすまし汁
大野林火
焼蛤の香を旗風が潮風が
佐々木久代
蛤のなかに入ってあそびたし
長浜勤
4月30日(火)
浅蜊/今日の俳句 第1269号
浅蜊に水いっぱい張って熟睡す
菖蒲あや
母の忌の浅蜊ちひさく鳴きにけり
永島理江子
浅蜊船ゆさりゆさりと戻りけり
野口文吾
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今日の俳句(季題)名句・秀句 2013年(平成25年)《 3 月 》
今日の俳句(季題)名句・秀句 2013年(平成25年)
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《 3 月 》
3月1日(金)
頬白(ほおじろ)/今日の俳句 第1209号
麦熟るゝ野に頬白のこゑひとつ
瀧春一
切株をたつ頬白の一呼吸
堀口星眠
頬白やひとこぼれして散り散りに
川端茅舎
3月2日(土)
雛市/今日の俳句 第1210号
人間のまなこに出逢う雛の市
深谷友香
もとめずも心足らひぬ雛の市
及川貞
飴も売りにはかに雛の店となる
古館曹人
3月3日(日)
ひな祭/今日の俳句 第1211号
厨房に貝が歩くよ雛祭
秋元不死男
貝がらは縞の柄着て雛祭
鷹羽狩行
白き粥かがやく雛の日とおもふ
桂信子
3月4日(月)
雛流し/今日の俳句 第1212号
終夜潮騒雛は流されつづけゐむ
松本 明
流し雛波音に耳慣れてきて
荒井八雪
櫂が欲し櫓が欲し加太の雛流し
下村梅子
3月5日(火)
雛納め/今日の俳句 第1213号
雛納めして美しき障子かな
山崎冨美子
雛納めしたる正座でありしかな
福井隆子
惜しみつつ惜しみつつ雛納めけり
山田六甲
3月6日(水)
鶏合(とりあわせ)/今日の俳句 第1214号
闘鶏の抱かれて蹴爪たたみけり
宮岡計次
闘鶏のかすかなる血を浴びにけり
中西夕紀
勝鶏を抱き昂ぶりを分ち合う
村山白朗
3月7日(木)
雁風呂(がんぶろ)/今日の俳句 第1215号
落日に橋つつまれし空襲忌
大牧広
闘鶏のかすかなる血を浴びにけり
中西夕紀
勝鶏を抱き昂ぶりを分ち合う
村山白朗
3月8日(金)
椿/今日の俳句 第1216号
ひとつ咲く酒中花はわが恋椿
石田波郷
はなびらの肉やはらかに落椿
飯田蛇笏
今落ちし椿温みのあるごとく
有沢文枝
3月9日(土)
紅梅/今日の俳句 第1217号
紅梅へ顔寄す この世捨てきれず
守田椰子夫
蕾見てをり紅梅か白梅か
鈴木須美生
紅梅や誰となく先うながして
晏梛みや子
3月10日(日)
初桜/今日の俳句 第1218号
初花の水にうつろふほどもなき
日野草城
初桜今を今こそ一大事
小出秋光
吉野箸指のやさしき初桜
平崎千恵
3月11日(月)
彼岸桜/今日の俳句 第1219号
一本の彼岸桜が散歩の榮
松崎鉄之介
ひと息ひと息彼岸桜の開きゆく
中嶋秀子
咲きそめし彼岸桜のとどまらず
稲畑汀子
3月12日(火)
枝垂桜/今日の俳句 第1220号
影は瀧空は花なり糸桜
加賀千代女
しだれつつこの世の花と咲きにけり
藤田湘子
糸桜言の葉つむぐやうに揺れ
金藤優子
3月13日(水)
桜/今日の俳句 第1221号
ごはんつぶよく噛んでゐて桜咲く
桂信子
刺繍糸縺(もつ)れてよりのさくら冷
山口貴志子
桜前線微熱五体を通過して
倉本岬
3月14日(木)
花/今日の俳句 第1222号
雪ならば花ならばなほわれは澄み
八田木枯
人体冷えて東北白い花盛り
金子兜太
桶の貝みな動きおり花の昼
細木芒角星
3月15日(金)
山桜/今日の俳句 第1223号
二人してあの木この木と山桜
矢島渚男
山桜奥千本の迷い道
白石みずき
山桜西行の頭直撃す
森下草城子
3月16日(土)
八重桜/今日の俳句 第1224号
満ち足らふことは美し八重桜
富安風生
八重桜逢ふ魔が刻を歩みけり
柴田白葉女
武蔵野はどこもふるさと八重桜
松原地蔵尊
3月17日(日)
遅桜/今日の俳句 第1225号
遅ざくら残鴨瀞(とろ)にたゞよへる
西島麦南
遅桜修験の道は岩根道
津田清子
遅桜火の国は空けぶりたる
古藤みづ絵
3月18日(月)
落花/今日の俳句 第1226号
ちるさくら海あをければ海へちる
高屋窓秋
花吹雪天にもありしけものみち
たむらちせい
花筏いそがず行けと俺に言う
安藤今朝吉
3月19日(火)
桜蘂降る(さくらしべふる) /今日の俳句 第1227号
蘂のみのさくらとなりて夕日透く
能村登四郎
桜蘂散りつくづくと地べたなる
宮澤明寿
桜蘂降るあきらめないは彼のこと
近藤千雅
3月20日(水)
残花. /今日の俳句 第1228号
人を見ぬ残花や山河くすくすと
永田耕衣
残桜の雫の色といふべけれ
岩城久治
残花舞ふ鳥が足蹴りにせし枝より
太田光子
3月21日(木)
牡丹の芽 /今日の俳句 第1229号
ビニールの姐様かむり牡丹の芽
阿波野青畝
牡丹の大いなる芽のつめたかり
林徹
待つといふことのゆたかさ牡丹の芽
斉藤道子
3月22日(金)
薔薇の芽/今日の俳句 第1230号
茨の芽も皆々人に喰はれけり
小林一茶
薔薇の芽や校正のペンポケットに
原田青児
三歳のくすくす薔薇の芽と棘と
松田ひろむ
3月23日(土)
三茱萸の花(さんしゅゆのはな)/今日の俳句 第1231号
三茱萸の花完結のなく続く
後藤夜半
さんしゅゆの花のこまかさ相ふれず
長谷川素逝
三茱萸の銀河系めくひろがりに
鳥居おさむ
3月24日(日)
白鳥帰る/今日の俳句 第1232号
白鳥帰る一つ一つの生命にて
加藤瑠璃子
白鳥(スワン)去り鴨去り湖の真つ平ら
河口仁志
水底の泥に首さす子白鳥
菊地恵子
3月25日(月)
春の鴨/今日の俳句 第1233号
船過ぎて鴨の円陣あとかたなし
山口誓子
鴨のこる池が真中競馬場
飯島晴子
こちら向けわれもひとりぞ残り鴨
清水基吉
3月26日(火)
鳥帰る/今日の俳句 第1234号
鳥帰るいづこの窓も真顔見え
今井聖
鳥帰るいづこの空もさびしからむに
安住敦
鳥帰る此処は丹波の分水嶺
水谷ひさ江
3月27日(水)
鳥雲に入る/今日の俳句 第1235号
鳥雲に忘れしことの限りなく
甲田鐘一路
鳥雲に娘はトルストイなど読めり
山口青邨
3月28日(木)
囀(さえず)る/今日の俳句 第1236号
囀やあはれなるほど喉ふくれ
原石鼎
囀りや明(あけ)しらむ方の雨の中
松瀬青々
囀りやピアノの上の薄埃
島村元
3月29日(金)
鳥交る/今日の俳句 第1237号
雀交る倉あひの日がかんかんと
金子麒麟草
茶を点てて遊べば軒の恋雀
草間時彦
鳥の恋峰より落つるこそ恋し
清水径子
3月30日(土)
雀の子/今日の俳句 第1238号
子雀の上手にとぶよニ三尺
梅沢墨水
在原寺雀の子まだ飛べずして
細見綾子
モニュメント好きな市民と子雀と
後藤比奈夫
3月31日(日)
燕の巣/今日の俳句 第1239号
何を見てもつまらぬ燕の巣を仰ぐ
加倉井秋を
白樺の雨に燕の巣がにほふ
飯田龍太
モニュメント好きな市民と子雀と
後藤比奈夫
今日の俳句(季題)名句・秀句 2013年(平成25年)
今日の俳句(2月)名句・秀句 2013年(平成25年)
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《 2 月 》
2月1日(金)
春/今日の俳句 第1181号
挙手をしたまま春の秩父に眠る子よ
夏石番矢
老いの春死ぬ気はなくて死にたがる
小出秋光
さす・しめる・きる・もむ春の俎に
中村ふみ
2月2日(土)
二月/今日の俳句 第1182号
安房二月コーヒー店も花あふれ
新井英子
ごつごつと音して二月過ぎにけり
藤澤清子
折鶴の紙にもどらぬ二月尽
友松照子
2月3日(日)
節分/今日の俳句 第1183号
節分の宵の小門をくゞりけり
杉田久女
人が良いので節分の鬼の役
武井康隆
節分のひとかたまりの夜が動く
海輪久子
2月4日(月)
立春/今日の俳句 第1184号
立春の地球を汚す犬うろうろ
丸山佳子
立春の卵立ちたる夫婦かな
小宮山政子
潮境くっきりと春立ちにけり
木内怜子
2月5日(火)
早春/今日の俳句 第1185号
早春の風樹にひかり充ち充つごと
赤城さかえ
早春や藁一本に水曲がり
田中純子
早春のざわざわとする山河かな
高橋将夫
2月6日(水)
春浅し/今日の俳句 第1186号
浅し一階上の遠景色
中原幸子
蝉塚といふ浅春の石ひとつ
細川加賀
春浅きポンペイの街時止まる
渡部蜩硯
2月7日(木)
冴返る/今日の俳句 第1187号
冴返る午前三時の梁の音
長谷川通子
壁を貼る手さばき密に冴返る
相沢有理子
冴返るひときわ白いねこの耳
わたなべじゅんこ
2月8日(金)
余寒/今日の俳句 第1188号
ショパンいま余寒の胸になだれこむ
木之下みゆき
余寒なほ午前零時の腕時計
小川廣男
サイレンの散らばって行く余寒かな
杉山加代
2月9日(土)
春寒/今日の俳句 第1189号
はる寒く葱の折れふす畠かな
炭太祇(たん・たいぎ)
春寒や貝のはなさぬ海の砂
いのうえかつこ
春寒や竹の中なるかぐや姫
日野草城
2月10日(日)
遅春/今日の俳句 第1190号
春遅々と山中節は闇ふかむ
安澤静尾
春遅し泉の末の倒れ木も
石田波郷
わが快き日妻すぐれぬ春遅々と
富安風生
2月11日(月)
春一番/今日の俳句 第1191号
春一番写楽の顔で吹かれけり
日下部宵三
巻貝の奥に目覚めし春一番
佐藤成之
ラヴチュアのラヴおそろしき春一番
加藤山査子
2月12日(火)
梅/今日の俳句 第1192号
天つ日に泡立つごとし谷の梅
丸山佳子
暗闇に猫の登りし梅匂ふ
横山房子
故人との夢ばかり見て 梅便り
伊丹三樹彦
2月13日(水)
紅梅/今日の俳句 第1193号
伊豆の海や紅梅の上に波ながれ
水原秋櫻子
雀来て紅梅はまだこどもの木
成田千空
紅梅や二人連れとは老いること
荒井民子
2月14日(木)
バレンタインデー/今日の俳句 第1194号
薔薇抱いてバレンタインといふ日かな
友田美代
バレンタインのチョコ携へて出講す
山田みづえ
バレンタインの日は老人でありにけり
多田薙石
2月15日(金)
春の馬/今日の俳句 第1195号
耳袋の赤鮮しや春の駄馬
沢木欣一
日高嶺や跳ぶも憩ふも春の駒
猪俣千代子
馬の仔は跳ね牛の仔は伏せ牧場
檜紀代
2月16日(土)
春の鹿/今日の俳句 第1196号
春の鹿角の尖まで静止して
辻田克己
泣ける児に片耳立てて孕鹿
木庭一恵
春の鹿まとへる闇の濃くならず
宮坂静生
2月17日(日)
落し角/今日の俳句 第1197号
角落ちて小さくなりぬ鹿の顔
吉田渭城
角落ちて別の愛嬌鹿にあり
猪俣千代子
柳生街道笹原ふかくおとし角
中村翠湖
2月18日(月)
猫の恋/今日の俳句 第1198号
恋猫の恋する猫で押し通す
永田耕衣
眼中に人間なくて恋の猫
加藤瑠璃子
傷つくとわかってゐても浮かれ猫
高木喬一
2月19日(火)
猫の子/今日の俳句 第1199号
子猫かなパルテノンなる陽だまりに
下山田禮子
ふるへつつ子猫貰はれゆきにけり
桂川美穂子
かたまりの中より子猫覚めてきし
森田桃村
2月20日(水)
亀鳴く/今日の俳句 第1200号
大丈夫づくめの話亀が鳴く
永井龍男
眠れざる夜は桂郎の亀なけり
神蔵器
亀鳴くや人取池の月朧
松根東洋城
2月21日(木)
]蛇穴を出づ/今日の俳句 第1201号
蛇穴を出て今年はや轢かれたり
竹中 宏
蛇穴を出て校門を出てゆけり
小西昭夫
蛇穴を出てコーヒーを買いに行く
村上哲史
2月22日(金)
蝌蚪(かと・くわと)/今日の俳句 第1202号
おたまじゃくしむかしむかしの陽をつれて
櫻井博道
言ひたきをふっと忘れて蝌蚪の紐
水野あき子
美人とはなべてふくよか蝌蚪の国
岸田雨童
2月23日(土)
春の土/今日の俳句 第1203号
春の土荒れて筋ひく竹箒
桂信子
閼伽(あか)の水撒きて匂はす春の土
松倉ゆずる
手でほぐす土にも春の匂いかな
細木芒角星
2月24日(日)
鶯(うぐいす)/今日の俳句 第1204号
うぐひすの次の声待つ吉祥天
加藤知世子
箸白く割るうぐいすに釜めしに
山田岳星
初音聞く世界遺産の原始林
田中康委子
2月25日(月)
雉(きじ)/今日の俳句 第1205号
雉のあと雉の行きけり夕間暮
井上信子
大原や雉子なくあとの小糠雨
巌谷小波
雉啼くや胸ふかきより息一筋
橋本多佳子
2月26日(火)
雲雀/今日の俳句 第1206号
海よりの風強し雲雀高くあり
高柳重信
乾きて草に沈むやゆふひばり
加賀千代女
雨の日は雨の雲雀のあがるなり
安住敦
2月27日(水)
麦鶉(むぎうずら)/今日の俳句 第1207号
麦鶉畦をよぎりぬ庵の前
鈴木花蓑
睡る間に月夜は消えて麦鶉
藤田湘子
生ぬるき風のうるみや麦鶉
瀬戸葩囁
2月28日(木)
鷽(うそ)/今日の俳句 第1208号
鷽鳴くや山頂きに真昼の日
相馬遷子
照鷽や吉備の乙女ら弓しぼる
神蔵器
鷽めぐる楡の裸木麗らなり
堀口星眠
今日の俳句(季題)名句・秀句 2013年(平成25年)
今日の俳句(1月)名句・秀句 2013年(平成25年)《 1 月 》
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《 1 月 》
1月1日(火)
新年/今朝の俳句 ※No.1150※
新年の壁に吊るせり草箒 穴井太
杉落葉香りぞたかく年明けたり 加倉井秋を
年いよよ水のごとくに迎ふかな 大野林火
1月2日(水)
初春/今日の俳句 ※No.1151※
天秤や京江戸かけて千代の春 松尾芭蕉
初春の河馬のお尻が四つほど 津田このみ
初春や母にまぶしき仏間あり 角川春樹
1月3日(木)
正月/今朝の俳句 ※No.1152※
ふるさとや正月を啼く川原鶸(ひわ) 木下夕爾
正月の白波を見て老夫婦 桂信子
正月の地べたを使ふ遊びかな 茨木和生
1月4日(金)
今年/今日の俳句 ※No.1153※
白波も今年の景となりゆけり 桂信子
旅先に鶴見て今年はじまりぬ 鈴木真砂女
くらがりに野鍛冶今年の火を起す 松本陽平
1月5日(土)
去年今年/今日の俳句 ※No.1154※
大いなる闇うごきだし去年今年 桂信子
暗きより火種をはこぶ去年今年 柿本多映
去年今年集い鳴るかな船の笛 寺井谷子
1月6日(日)
淑気(しゅくき)/今日の俳句 ※No.1155※
衿替へて八十の母淑気満つ 山田みづえ
筆先へ心音通ふ淑気かな 池田光子
一湾の白浪綴る淑気かな 中村尭子
1月7日(月)
七種粥/今日の俳句 ※No.1156※
七草粥冷えそめたるはあはれかな きくちつねこ
風邪の児にすこし熱くて七日粥 田中一荷水
吹くたびに緑まさりて七日粥 小沢初江
1月8日(火)
松納(まつをさめ)/今日の俳句 ※No.1157※
松取れて夕風遊ぶところなし 角川照子
掃きならし門松とりし跡と見ゆ 亀井絲游
安曇野の果ての見えをる松納 きちせあや
1月9日(水)
鳥総松(とぶさのまつ)/今日の俳句 ※No.1158※
星ひとつのこる大路や鳥総松 永田耕衣
結び目のかたき故里鳥総松 小島花枝
共稼ぐ鍵頒ち合ふ鳥総松 山口英二
1月10日(木)
春着/今日の俳句 ※No.1159※
竹生島行きの桟橋春着の子 山本洋子
春着の子古き言葉をつかひけり 田中裕明
遊びごころまだある春着畳みけり 成田清子
1月11日(金)
屠蘇/今日の俳句 ※No.1160※
火の国に住みて地酒を屠蘇がはり 大島民郎
屠蘇飲んでほろと酔ひたり男の子 原田浜人
屠蘇注ぐや吾娘(あこ)送りきし青年に 加倉井秋を
1月12日(土)
楪(ゆづりは)/今日の俳句 ※No.1161※
楪の紅に心のある如く 町春草
楪の柄のくれなゐに雪紬ぐ 古賀まり子
楪や受け継ぐ父の鋸鉋 小原きよ
1月13日(日)
歯朶/今日の俳句 ※No.1162※
ふるさとや石垣歯朶に春の月 芝不器男
青歯朶や後脚で立つ牧羊神(パン)の笛
横山白虹
裏白を剪り山中に音を足す 飴山實
1月14日(月)
福寿草/今日の俳句 ※No.1163※
妻の座の日向ありけり福寿草 石田波郷
針山も日にふくらみて福寿草 八染藍子
日輪の福寿草の庭二歩三歩 阿部みどり女
1月15日(火)
子日草(ねのひぐさ)/今日の俳句 ※No.1164※
日草日高く山を下りけり 山県瓜青
子日草海原の日に手をかざし 則近文子
子日草子の日の山を持ち歩く 中谷朔風
1月16日(水)
葉牡丹/今日の俳句 ※No.1165※
葉牡丹のふるさとの地の異人館 角川源義
葉牡丹のいとけなき葉は抱き合ふ 日野草城
葉牡丹を植ゑて玄関らしくなる 村上喜代子
1月17日(木)
薮柑子/今日の俳句 ※No.1166※
濁世の真ん中にあり薮柑子 久保純夫
洗ひ場に湯気こもりけり薮柑子 長谷川櫂
薮柑子夢のなかにも陽が差して 桜井博道
1月18日(金)
枯菊/今日の俳句 ※No.1167※
火の中に枯菊の花沈みけり 京極杞陽
枯菊に鏡の如く土間掃かれ 星野立子
枯菊に午前の曇り午後の照り 桂信子
1月19日(土)
枯芭蕉/今日の俳句 ※No.1168※
禅寺にひそやかに立つ枯芭蕉 小寺正三
枯芭蕉いのちのありてそよぎけり 草間時彦
枯芭蕉折れたる茎の支へあふ 棚山波朗
1月20日(日)
枯蓮/今日の俳句・第1169号
枯蓮の神経質に折れゐたり 塩川雄三
枯蓮をしばらく濡らし日照雨かな 津田経子
枯蓮のうごく時きてみなうごく 西東三鬼
1月21日(月)
冬菜/今日の俳句 ※No.1170※
月光に冬菜のみどり盛りあがる 篠原梵
人のかげ冬菜のかげとやはらかき 桂信子
地に置けば幸ある如し冬菜籠 倉橋羊村
1月22日(火)
白菜/今日の俳句・第1171号
白菜の山に身を入れ目で数ふ 中村汀女
洗はれて白菜の尻陽に揃ふ 楠本憲吉
白菜を洗ふ双手は櫂の冷え 大木あまり
1月23日(水)
葱/今日の俳句・第1172号
武蔵野や流れをはさみ葱白菜 臼田亜浪
葱抜くや人をはるかとおもひつつ 山上樹実雄
下仁田の土をこぼして葱届く 鈴木真砂女
1月24日(木)
大根/今日の俳句・第1173号
生涯を大根引きて生きて来し 保坂加津夫
心籠め大根を煮る湯気籠る 村越化石
五箇山や干大根の黄ばみつつ 大山なぎさ
1月25日(金)
人参/今日の俳句第1174号
人参の豊かなる紅シチュー煮る 長坂由香理
胡蘿葡と書いてにんじんてのひらに 星野麦丘人
夜鷹いてこの日人参ばかり買う 岸本マチ子
1月26日(土)
蕪(かぶら)/今日の俳句 第1175号
大鍋に煮くづれ甘きかぶらかな 河東碧梧桐
赤蕪を切なきまでに洗ひをり 友岡子郷
その道のひとの一言蕪汁 中村房枝
1月27日(日)
冬草/今日の俳句 第1176号
冬草や少年はすぐしゃがみこみ 津田このみ
冬草に黒きステツキ挿し憩ふ 西東三鬼
病む三鬼杖にてさぐる冬の草 沢木欣一
1月28日(月)
柳葉魚(ししゃも)/今日の俳句 第1177号
飄々と紙よりかろき柳葉魚喰ふ 勝又木風雨
膨れ来し河口の潮やししゃも群来(くき) 堀内素耕
北国の日照時間柳葉魚干す 山口甲村
1月29日(火)
枯蘆(かれあし)/今日の俳句 第1178号
枯葦や湖賊が夢の丸子船 前川嘉風
枯芦を金色の日がつつむなり 柴田白葉女
日当って枯蘆原のかげもなし 高浜年尾
1月30日(水)
枯萩/今日の俳句 第1179号
枯萩を起せば影の生まれけり 松本三千夫
鶴塚に日のふりそそぎ萩枯るる 宮内林童
萩叢と見分かぬまでに枯れつくし 伊藤白水
1月31日(木)
竜の玉/今日の俳句 第1180号
雑俳にたましひありぬ竜の玉 成瀬櫻桃子
ひとり子のひとり遊びや竜の玉 板橋美智代
竜の玉旅鞄よりこぼれ出づ 山崎ひさを